WRITE THE LIGHT

溟犬一六のWEB小説

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夢実現薬

オーソドックスなショートショート

読了目安:3分


 昼下がりの研究室に博士と助手がいた。
「ついに完成じゃ!」
「やりましたね博士。『夢実現薬』……一粒飲むだけで必ず夢がかなう薬。ノーベル賞間違いなしですよ!」
「ふぁっふぁっふぁ。まあ、完成と言ってもまだ理論上でしかないがの。助手の君が成功者第一号となって、この薬の効果を証明してくれたまえ」
「ええ! そんな大役、僕なんかじゃ務まりませんよ。博士ご自身でお試しになられては?」
「ふぁっふぁっふぁ。ワシの夢は『夢実現薬』の完成じゃからのう。ワシが薬を飲んでも仕方ないのじゃよ」
「なるほど。そういうことなら僕がやりましょう!」
 助手は両目をつぶって、夢実現薬をゴクリと飲み込んだ。博士はワクワクしながら尋ねた。
「どうなったね? 君の夢はかなったかね?」
 助手は照れくさそうに笑うと窓辺に立った。博士は助手の背中を見つめて、これ以上ないほどにドキドキしていた。
「あはは。すみません博士。考えてみたら効果はすぐには分からないんですよ。だって――」
 助手のはにかんだ声に、博士のドキドキは爆発した。
「僕の夢はノーベル賞ですから……博士?」
 助手が振り返ると博士は喜んで死んでいた。

 

 

(おわり)

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